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東京教育大学名誉教授 伊藤 洋
石川氏と種子とは、昭和22年頃から、氏が「種子の光発芽」と題する生理学的研究 (これは後に昭和37年の学位論文にまで発展した)に着手して以来の長い縁である。
この研究のための材料として、いろいろの種類を手がけるうちに、今度は種子の形や 色など分類学的な方面が面白くなって来たようで、種子を片っ端から集め始めた。
これが次第に本格的になって来て、日本中はもとより、世界の温帯、熱帯からも10 数種の植物の種子を集め、工夫した写真機を駆使して、双子葉、単子葉から裸子植物 まで驚くほど多くの見事なカラー写真を撮った。
これが基礎となり、之に学名、和名などを加えて分類順に並べたのが本書である。
これだけの種類の揃った種子図鑑は例がなく、分類学はもとより、農学、林学など実 用方面でも大いに役立つ書物だ。
元東京大学教授 山崎 敬
本書には種子植物約2、100種の種子のカラー写真が載せられている。
日本の種子植物は約4、500種だから、ほぼ半ばが収録されていて、身近に見られ るものの殆どが集められている。
科ごとに分けてあり、科の種子の特徴や、近縁の種どうしの関係が一目で了解される。
植物学の基礎資料として価値が高い。
またこのような形のものもあるのかと驚かされるほど、自然の造形の微妙さを伝えて いる。
美術の面でも色々利用しうるだろう。
それらを抜きにしても美しいカラー写真は見ているだけでも楽しませてくれる。
元千葉大学工業意匠科教授/画家 重田良一
驚きの中で形の意味を知る

以前まだ若い頃、私は雪の結晶の拡大図や写真を見てその美しさに憧れたことがあり ました。
しかし今、種子の表面、種子の全体に思いもかけないような形、色があることを知ら され驚きを禁じ得ません。
造化の妙であるものを、このように知らされ、同時に人間がつくろうとするものとに 思いを馳せるとき、生命観を与えうる或る動き、或る流れ、そして形成のあり方と形 の意味というものをもう一度考えさせられます。
それ故、この種子の写真集は植物学的な価値とともに、美術やデザインの世界の形を 扱う人々に、極めて示唆的なものが満ちていると思います。

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